神戸大学海洋底探査センター

プロジェクトProject

探査プロジェクト

プロジェクト「鬼界カルデラ」

<背景>

日本は、地球上の活火山(過去1万年に噴火した火山)の約7%が集中する火山大国である。これらの火山の活動は、これまで多くの災害を引き起こしてきた。昨年は御嶽火山が噴火し、近年では、富士山噴火の可能性が注目されている。


通常の噴火に比べ、巨大カルデラ噴火では大規模な火砕流などが発生し甚大な被害をもたらす危険性が高い。(図1)


図1

過去の巨大カルデラ噴火の発生頻度を統計学的に解析し将来の噴火発生確率を求めた結果、日本列島で今後100年間に巨大カルデラ噴火が起こる確率は約1%であることが判明した。


この確率は、兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災) 発生前日における30年発生確率と同程度であり、いつこのような巨大噴火が起こっても不思議ではない。九州中部で巨大カルデラ噴火が発生した場合の被害は図2の通りと予測されている。


図2

<鬼界カルデラプロジェクトの概要>

巨大カルデラ噴火の発生メカニズムや前兆現象の解明のため、カルデラ直下のマグマ溜りのモニタリング技術を確立させることが必須となる。しかしながら、このマグマ溜まりのモニタリングには、人工的に地震波を発生させ、その反射を見る、「地震探査」が不可欠である。このような観測は陸上では不可能であり、海域での調査・研究が必要である。(図3)


図3

KOBECは九州の南海域に存在する鬼界カルデラを対象に、世界で初めて、 「マグマ溜り」の高精度のイメージングをおこなう。さらに、JAMSTECと連携し、各種センシング技術を適用することで、大規模海底構造探査を実施する。この10月には、最新機器を搭載した神戸大学「深江丸」による探査に乗り出す。(図4)


図4

<関連資料>

プロジェクト概要資料

鬼界カルデラプロジェクト概要(PDF)

イベント用に作成された、鬼界カルデラプロジェクトの概要説明ポスターです。

論文実績

Submarine pyroclastic deposits from 7.3ka caldera-forming Kikai-Akahoya eruption

Satoshi Shimizu, Reina Nakaoka, Nobukazu Seama, Keiko Suzuki-Kamata, Katsuya Kaneko, Koji Kiyosugi, Hikaru Iwamaru, Mamoru Sano, Tetsuo Matsuno, Hiroko Sugioka, Yoshiyuki Tatsumi

Journal of Volcanology and Geothermal Research (2024)

doi:10.1016/j.jvolgeores.2024.108017| Journal of Volcanology and Geothermal Research


Giant rhyolite lava dome formation after 7.3 ka supereruption at Kikai caldera, SW Japan

巽 好幸, 鈴木 桂子, 松野 哲男, 市原 寛, 島 伸和, 清杉 康司, 中岡 玲奈, 中東 和夫,滝沢 秀明, 林 和輝, 千葉 達朗, 清水 賢, 佐野 守, 井和丸 光, 両角 春寿, 杉岡 裕子, 山本 揚二朗

Scientific Reports (2018)

doi:10.1038/s41598-018-21066-w | Scientific Reports 掲載先

プレスリリース | 神戸大学研究ニュースサイト


過去の調査

新青丸 KS-23-3研究航海

JAMSTEC 海洋調査船「新青丸」にて、2023年2月11日~18日、鬼界カルデラの探査を実施しました。


かいめい KM22-01研究航海

JAMSTEC 海底広域研究船「かいめい」にて、2022年1月7日~19日、鬼界カルデラの探査を実施しました。


第11回鬼界カルデラ探査航海

海事科学研究科附属練習船「深江丸」にて、2019年10月10日~24日、鬼界カルデラの探査を実施しました。


かいめい KM21-05研究航海

JAMSTEC 海底広域研究船「かいめい」にて、2021年7月19日~8月1日、鬼界カルデラの探査を実施しました。


第10回鬼界カルデラ探査航海

海事科学研究科附属練習船「深江丸」にて、2021年2月26日~3月11日、鬼界カルデラの探査を実施しました。


かいれい KR-20-11研究航海

JAMSTEC 深海調査研究船「かいれい」にて、2020年9月24日~10月13日、鬼界カルデラの探査を実施しました。


第8回鬼界カルデラ探査航海

海事科学研究科附属練習船「深江丸」にて、2020年2月27日~3月11日、鬼界カルデラの探査を実施しました。


ちきゅう CK20-S01航海(Exp.912Leg2)

JAMSTEC 深海調査研究船「ちきゅう」にて、2020年1月4日~15日、鬼界カルデラの探査を実施しました。


第7回鬼界カルデラ探査航海

海事科学研究科附属練習船「深江丸」にて、2019年10月10日~24日、鬼界カルデラの探査を実施しました。


かいれい KR-19-11

JAMSTEC 深海調査研究船「かいれい」にて、2019年9月24日~10月13日、鬼界カルデラの探査を実施しました。


新青丸 KS-19-17研究航海

JAMSTEC 海洋調査船「新青丸」にて、2019年9月9日~15日、鬼界カルデラの探査を実施しました。


第6回鬼界カルデラ探査航海

海事科学研究科附属練習船「深江丸」にて、2018年2月27日~3月11日、鬼界カルデラの探査を実施しました。

実施概要(矢野船長)


第5回鬼界カルデラ探査航海

海事科学研究科附属練習船「深江丸」にて、2018年10月19日~11月2日、鬼界カルデラの探査を実施しました。

実施概要(矢野船長)


第4回鬼界カルデラ探査航海

海事科学研究科附属練習船「深江丸」にて、2018年3月2日~14日、鬼界カルデラの探査を実施しました。

実施概要(矢野船長)


第3回鬼界カルデラ探査航海

海事科学研究科附属練習船「深江丸」にて、2017年10月18日~30日、鬼界カルデラの探査を実施しました。
悪天候のため、予定より2日間短縮しての実施となりました。

実施概要(矢野船長)


第2回鬼界カルデラ探査航海

海事科学研究科附属練習船「深江丸」にて、2017年3月1日~10日、鬼界カルデラの探査を実施しました。

実施概要(矢野船長)

第24回 神戸大学長定例記者会見 (2017年3月31日)にて、「深江丸が鬼界海底カルデラの第2回観測航海を終了、活動的海底巨大溶岩ドームを確認」を発表しました。


第1回鬼界カルデラ探査航海

海事科学研究科附属練習船「深江丸」にて、2016年10月13日~27日、鬼界カルデラの探査を実施しました。

実施概要(矢野船長)

第22回 神戸大学長定例記者会見 (2016年11月18日)にて、「附属練習船深江丸が鬼界海底カルデラの初回観測航海を終了、複数の熱水プルームを確認」を発表しました。

第21回 神戸大学長定例記者会見 (2016年9月16日)にて、「超巨大噴火の予測を目指し、附属練習船深江丸による鬼界海底カルデラの探査航海調査を開始」を発表しました。